ビジネス文書で見かける「私こと」「私儀」って何のことか分かりますか?
日常では使わない言葉なので、きちんと意味を理解している人の方が少ないと思います。
今回の記事で分かりやすく説明しますので、ビジネス文書で上手に使いましょう!
読み方と意味について。
まず読み方ですが、「私こと」はわたくしこと、「私儀」はわたくしぎと読みます。
意味は2つとも同じです。
簡単にいうと「私のことですが…」という意味です。
自分のことを「私こと」や「私儀」とへりくだって表現をしているわけです。
実に日本人らしい文章表現だという気がしますよね。
また「私こと」より「私儀」の方がより硬い表現になります。
文章に込める意味合いとしては、「私の個人のことで恐縮ではございますが…」というような感じですかね。
ちなみに「私こと」と「私事」は全く別の意味です。
私こと(わたくしこと)はビジネス文書などの公の場合に使います。
それに対して、私事(わたくしごと)はプライベートな表現になります。
ビジネス文書での書き方。
実際にビジネス文書を書くときは、ポイントが2つあります。
そしてその2つのポイントの組み合わせについて、私の事例を紹介してみます。
文字を小さくすること。
「私こと」や「私儀」は他の文章の文字より少し小さめにします。
なんで小さくするのかというと、自分のことをへりくだって表現しているので、小っちゃくするわけです。
主に縦書きの文章で小さくしているのを見かけます。
(小さくしていないのも見かけますけどね。)
横書きの文章では同じ大きさにするのが一般的だと思います。
私もビジネス文書を書くときに、「私こと」や「私儀」を使います。
ビジネス文書はWordで作ることが多いんですけど、縦書きの文章のときは、私も小さくしてます。
フォントの大きさでいうと、他の文字より1.5pt小さくしてます。
・2ptだと小さくなりすぎ。
・1ptだと小さくなったか分からない。
という主観的な判断により1.5ポイントです。
私は横書きの文章だったら小さくしません。
とは言っても、「私こと」を使う挨拶状なんかは基本的に縦書きで文章を書くんですけどね。
行末に書くこと。
「私こと」や「私儀」は行末に書くことが多いです。
なんで行末に書くのかというと、自分のことをへりくだって表現しているので、下の方に書くわけです。文字を小さくするのと同じで、謙遜していることが理由ですね。
実際に文例を書いてみます。□は空白を表しています。
貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
□□□□□□□□□□□□□□□□さて 私こと□
このたびAB株式会社の取締役に就任いたしました
このような感じになります。行末に書くイメージがつかめたでしょうか?
「さて 私こと」を行末から書き始めるというだけでいいんです。
そして「私こと」のあとを一文字分ぐらい空けるのがお約束です。私は一文字分空けることを重要だと思いませんけど、もらう文書のほとんどは一文字分空けてあるので、みなさんきちんとお約束を守っている印象ですね。
私の場合、「私こと」や「私儀」を行末に下げるかどうかは内容や文章のバランスによってまちまちです。
ちなみに最近書いた文書のいくつかは、行末に下げず、文字の大きさを1.5pt小さくしました。
組み合わさったときの私の書き方。
文字を小さくすること、行末に書くことが組み合わさったときの私の書き方を紹介しておきます。
・行末から「さて 私こと」とはじめるときは「さて」は通常の大きさ、「私こと」はそれより1.5pt小さくしてます。
・行末から「私こと」「私儀」とはじめるときは通常の大きさで書いています。
文書に関する本なども色々調べたことがありますが、これが正解!というものはないようです。
同じような挨拶状をいくつも読んだことがありますが、私と同じ書き方をしている人は多いです。
なので、この書き方で問題はないと思います。
文例をいくつか書いてみました。
まず3つほど文例を書いてみましょう。
書き出しの言葉は使い勝手のいいやつを一つ書きました。
時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
1.さて 私こと このたび4月より○○株式会社で勤務することになりました。
2.さて 私こと このたび○年○月○日に結婚いたしました。
3.さて 私こと このたび一身上の都合により○年○月○日をもって退職いたしたく ここにお願い申し上げます。
こんな感じでしょうかね。
3は退職願の文例を書いてみましたが、私ことや私儀よりも「私事」を見かけることが多い気がします。
私事という言葉で十分に謙譲の意味が伝わります。
退職願の「私事」は1行目の行末に持ってくるとばっちりだと思います。
私儀を使った文例を一つ書いてみましょう。
貴社 益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて 私儀 このたび○○株式会社の代表取締役社長に就任いたしました。
甚だ微力ではございますが 社業の発展に全力を…
みたいな堅苦しい文章にばっちりです。
「私こと」と「私儀」の厳密な使い分け方は無いので、伝える相手のことを考えて使い分けましょう。
個人的にはそんなに深く考えなくても大丈夫だと思います。
まとめ
「私こと」や「私儀」は日本語が謙譲の精神を大事にしているのが良く分かる事例ですよね。
自分を下げて、相手を立てる表現です。謙譲の美徳とも言えますけど、面倒くさい部分でもあります。
特に年配の人に文章を送るときなんかは、こういう表現を知っておいた方がいいかも知れません。
そういうことにうるさい人っていますからね。。。
私自身はこういう文章の表現は好きです。
尊敬語、謙譲語、丁寧語って正しく覚えるのは大変です。
でも言葉の多様さは、気持ちの表現を豊かにできますので、言葉のセンスで相手を心地よくすることもできますからね。
今回の「私こと」「私儀」も覚えてしまえば、難しいものではないので、上手に使いましょう!
ビジネス文書の文例やポイントを紹介した記事を一覧で見れるようにまとめました。
今後も記事が増えるたびに追加していきますので、是非ご参考にしてください。