会社の財務内容を表すもので、3つの重要な財務諸表があります。
1.貸借対照表(B/S)
2.損益計算書(P/L)
3.キャッシュ・フロー計算書(C/F)
この中のキャッシュフロー計算書を理解していると、違った角度から仕訳と勘定科目の理解が深まります。
ちなみにキャッシュとはそのまま現金の意味です。つまりキャッシュフローとはお金の流れのことです。
仕訳と勘定科目について、キャッシュフロー計算書の考え方を少し使って説明してみたいと思います。
事前に第1回と第2回の「かんたん確定申告」も是非お読み下さい♪
参考 かんたん確定申告!まずは簿記の基本を覚えましょう。借方と貸方とはなんですか?
参考 かんたん確定申告!勘定科目を理解すれば仕訳はばっちりできます。
キャッシュ・フロー計算書とB/Sの勘定科目。
キャッシュフロー計算書において、重要なポイントはこれです。
資産とはキャッシュ(現金)が減るもの。
負債とはキャッシュ(現金)が増えるもの。
一瞬、「?」となりませんか?
でも、そうなんですよ。
銀行からお金を借りる「借入金」という負債の勘定科目は、現金を増やしてくれるものです。
もちろん、将来において返す必要があるので、負債の勘定科目に違いありません。
でも、その時点ではお金を調達してくれる大事な役割があります。
そして資産というのは現金を減らすものです。建物を建てる、機械を買う。
すべて現金が減ります。資産の購入とはお金が減ることなんです。
実際には建物を建てるために、銀行からお金を借りて建てたので、仕訳は「建物/長期借入金」となるからお金は減ってないよ、と思うかもしれません。
でもその仕訳は、「現金/長期借入金」ということで銀行から負債を背負ってお金を調達してきて、「建物/現金」と、建設会社などにお金を支払っているはずです。
負債が増えるとお金が増える。資産が増えるとお金が減るんです。
キャッシュ・フロー計算書とP/Lの勘定科目。
B/Sの勘定科目である資産と負債。キャッシュフローでは資産は現金が減るもの、負債は現金が増えるものということは理解できたと思います。
それではP/Lの勘定科目である、費用と収益はどうでしょう?
これはイメージのままです。費用はお金が減るもの。収益はお金が増えるものです。仕訳で説明するまでもないですね。物を仕入れるとお金は減るし、物が売れるとお金は増えます。
収益が増えるとお金が増える。費用が増えるとお金が減るんです。
現金商売じゃなくて、これが売掛金や買掛金だったらどうなるでしょう?
売掛金は資産の勘定科目です。売掛金(資産)が増えるということは、お金が減ると考えます。買掛金(負債)が増えるということはお金が増えると考えます。
分かりやすく事例で考えてみましょう。
例えば100円の物が売れて、それが掛け売上だったとします。
仕訳は「売掛金/売上高 100円」となります。
次はキャッシュフローを考えてみましょう。
売上高の発生はキャッシュが増えることを意味しますので、100円キャッシュが増えた。
売掛金の増加はキャッシュが減ることを意味しますので、100円キャッシュが減った。
つまり手元にあるのは0円ということになります。実際にそうなりますよね。
なんとなく勘定科目とキャッシュ・フロー計算書の関係性が少し理解出来てきたのではないでしょうか。
勘定科目をキャッシュフローで考えて借方と貸方に書いてみよう。
・資産が増えるとお金が減る。
・負債が増えるとお金が増える。
・費用が増えるとお金が減る。
・収益が増えるとお金が増える。
ここまでは理解できたことと思います。
このキャッシュフローの考え方をイメージしながら、仕訳をすることにつなげましょう。
現金をベースに仕訳をしてみよう。
仕訳の理解を深めるために、現金という勘定科目を借方と貸方に当てはめて具体的に考えてみましょう。
現金/○○
これは現金が増える仕訳です。
○○にくる勘定科目は現金が増えるための勘定科目じゃないとおかしくなります。
つまり、売上高とか長期借入金とかが来るんですね。
負債と収益が貸方にくれば、負債や収益が増えて、その結果として現金が増えます。
○○/現金
これは現金が減る仕訳です。
○○にくる勘定科目は現金が減るための勘定科目じゃないとおかしくなります。
つまり仕入高とか建物とかが来るんですね。
資産と費用が借方にくれば、資産や費用が増えて、その結果として現金が減ります。
・資産と費用の増加は借方に書く。
・負債と収益の増加は貸方に書く。
キャッシュをベースに勘定科目の増加と借方貸方の関係を考えてみると、また違った視点で理解できると思います。
キャッシュフローで借方と貸方を整理しましょう。
P/Lの勘定科目である費用と収益は発生するのが基本です。取引において取り消すようなことは多くありません。
例えば経費を二重計上していて、それを取り消すために、費用を貸方に書くこともありますが、そういった例外はいったん忘れて、このように覚えておきましょう。
費用とは借方に書くもの。(費用の発生&増加)
収益とは貸方に書くもの。(収益の発生&増加)
それに対して、資産や負債は増え続けるものではありません。当然に減る場合もあります。
例えば、銀行からお金を借りて、毎月返済をしていれば、負債はどんどん減っていきます。
建物や車両や機械を売れば、資産は減っていきます。
なので、資産と負債はまず増える方を頭にたたきこんで、減る方も覚えましょう。
資産は借方に書くと増えて、貸方に書くと減る。
負債は貸方に書くと増えて、借方に書くと減る。
さて、ここまではよろしいでしょうか。
私が思うところ、最初は勘定科目をどちらに書いたら増えるのか減るのかが理解しにくいと思います。これって借方に書いたら増えるんだっけ?という感じで。
それでキャッシュ・フロー計算書の考え方を持って来て、仕訳の理解を深める説明をしてみました。
今まではイントロダクションで、ここからがこの記事でまとめたかったことです。
例外はありますが、キャッシュのことを考えた場合の借方と貸方はこのように理解できます。
勘定科目を借方に書く。キャッシュが減る。
勘定科目を貸方に書く。キャッシュが増える。
このキャッシュの増減を想像して仕訳をすると、勘定科目と借方貸方の関係が整理できます。
①資産を”借方”に書いたら、”キャッシュが減る”ということです。
②なぜキャッシュが減るのかというと、資産を購入したからです。
③資産を購入したということは、資産が増加したということです。
④つまり借方に資産を書いたら資産は増加するわけです。
こういう風に「なぜ現金が減るのか?」ということを考えると、勘定科目の増減と借方貸方の関係がつかめてきます。
この考え方をまとめてみます。
借方に書いた場合。(つまりキャッシュが減る場合。)
・資産は増える。(資産を購入するのでお金が減る。)
・費用は増える。(費用を使うのでお金が減る。)
・負債は減る。(負債を返済するのでお金が減る。)
・収益は減る。(収益を返すことになってお金が減る。)
貸方に書いた場合。(つまりキャッシュが増える場合。)
・資産は減る。(資産を売却したのでお金が増える。)
・費用は減る。(払った費用を返してもらってお金が増える。)
・負債は増える。(負債でお金を調達してお金が増える。)
・収益は増える。(収益が増えてお金が増える。)
カッコ書きの方をイメージしながら、勘定科目を借方貸方に書くと、増えるのか減るのかが理解できると思います。
まとめ
キャッシュ・フロー計算書ってものすごく大事な資料なんです。
キャッシュフロー経営という言葉があります。事業はキャッシュがある限り、継続していくんです。どんなに赤字だろうとも、お金がある限り潰れません。
逆にどんなに黒字でもお金がないと潰れます。黒字倒産ってそういうことです。
仕訳の借方と貸方で悩んだ時は、借方に現金を置いてみたり、貸方に現金をおいてみて、一度頭を整理すると、ふと正解が浮かんでくるかも知れませんよ。
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